幼児教育と“自立”のほんとうの意味
「自立」と聞くと、多くの人は「親からの自立」や「経済的な自立」を思い浮かべるかもしれません。
けれど、教育でいう自立とは、もっと根本的な力を指します。
自立=人が学び、考え、創造するための土台。
自立がなければ創造は生まれず、創造がなければ広い世界の中で通用する力には育たないのです。
自立は段階を追って育ちます。
1. 身体的な自立(指先や体を自分でコントロールする力)
2. 精神的な自立(自分でやってみようとする気持ち)
3. 知的な自立(考え、学ぶ力)
ところが、身体的な自立が育っていないと、その先の心や知性の成長にも大きな影響が出ます。
例えば…
まだ3〜4歳になっても、
・お箸で豆をつまめない
・はさみで紙を切れない
・服の着脱や鼻をかむことができない
こうした状態では、図形遊び(外界を理解する大切な学び)すら難しくなります。
つまり「生活の基本動作を自分でできること」が、心と頭の成長の土台になるのです。
ここで大切なのは、親の関わり方。
子どもが自分でできるはずのことを、つい手を出して親がしてしまう…。
そうすると、せっかく芽生えかけていた自立心を妨げてしまいます。
そして後になって「もう大きいんだから自分でやりなさい!」と急に突き放すのは酷なこと。
自立の芽を摘んでしまったのは、実は親の側にあるのです。
子どもが「一人でできた!」と感じる瞬間。
その積み重ねが、心を強くし、知性を伸ばし、未来へ羽ばたく力につながります。
幼児教育で大切なのは、知識を詰め込むことよりも
「自分でやってみたい」「できた!」を支える環境をつくること。
それこそが、ほんとうの意味での「自立」を育てる教育です。